未来を変える小さなAI。NTTデータが目指す新しい世界観

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  • author 友清哲
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未来を変える小さなAI。NTTデータが目指す新しい世界観

AIに囲まれて暮らせる世界がやってくる。

スマートフォンやスマートスピーカーのアシスタント機能などで、私たちの生活になじみつつあるAI。かつてAIといえば「大きなコンピューター上で動いていて、ネットワークを通して利用するもの」というイメージでしたが、最近はその事情も大きく様変わりしつつあるんだとか。

スマートフォンやドローンそのものに搭載される、小規模なAIが増えているんです。この「小さなAI」たちが発展し続ければ、やがて地球の総人口よりもAIの数が勝る、なんて時代がやってくるかも。もしも、そんな未来が訪れた場合、社会はどのように変わっていくのでしょう?

そこで、ギズモード編集長の鈴木が、AIソリューションを手がけるNTTデータのキーパーソンに、小さなAIの現状と将来展望を聞いてきましたよ。

この人たちにお話を聞いてきました:

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Photo: 小原啓樹

大塚優さん(左):NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 AI&IoTビジネス部 ソリューションセンタ主任。28歳。

白井祐典さん(中央):LeapMind ソフトウェア部門 マネージャー。32歳。

滝澤貴之さん(右):NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 次世代技術戦略室 AIソリューション技術担当 部長。46歳。

手話ができます。小さなAIは「モデル圧縮」で生まれる

対談の最初に、NTTデータのAIのデモとしてロボット型携帯電話「RoBoHoN(以下、ロボホン)」上で現在開発中の手話アプリを試してみました。鈴木の前にロボホンを立たせて、教えてもらった手話のジェスチャーをロボホンに見せると...

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現在開発中の手話アプリは、単語単位で手話を通訳できます。現在のボキャブラリは「数百種類」とのこと。
Photo: 小原啓樹

ロボホン:名前!(他にもいろいろな手話に挑戦!)

鈴木:おおー、すぐ返事が返ってきますね。この手話用アプリは、どういう経緯で誕生したんですか?

大塚:手話翻訳のプロジェクトは、もともと弊社内でロボホンの新しい事業プランのコンテストに参加したところから始まっています。実際に聴覚にハンディキャップを持つ家族がいる同僚が、ITの技術をコミュニケーションに役立てられないかと考えたのが発端でした。今のAIでも、1枚の写真の内容が「猫」なのか「犬」なのかを認識することはできます。でも、写真ではなく動画の場合、どのレベルで認識できるのか...というのが本プロジェクトのチャレンジです。AIのプロトタイプを作って、コンテストで最優秀賞をいただいてプロジェクトが本格化しました。その後、小さなAI=機器に組込んだ半導体だけでAIを動作させる、いわゆる「組込みディープラーニング」に強いLeapMindさんに相談して、いま白井さんと一緒に開発を進めています。

白井:私が最初に受けたオファーは、作られたプロトタイプを渡されて、「これを改良してよ」というものですね。そこで、「組込みディープラーニング」に使われる「モデル圧縮技術」が使えるのではないかとピンときたんです。モデル圧縮とは、計算が複雑なディープラーニングモデルの処理量を、精度を損なわないように削減する方法です。処理の高速化、データサイズの削減ができるので、小さなAIにぴったりだと思ったんです。

鈴木:モデル圧縮を採用したことで、何が変わるんでしょう?

大塚レスポンスの速さです。手話の認識精度を上げることは大前提ですけど、動画のコマ毎に複雑な処理をするため、どうしても手話を認識するまでに時間がかかっていました。そのために対話が遅くなってしまったら意味がありません。実際、今の開発環境はクラウド経由ですが、プロトタイプの段階では10秒ほどかかってた処理が、モデル圧縮を採用してから3秒まで高速化できています。これを機器に組み込んだカスタムチップ上で動作させれば、処理はさらに早くなります。

鈴木:なるほど。モデル圧縮を活用することで、劇的に早くなるのですね。

小さなAIのさらなる浸透が社会貢献につながる

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AIを使って社会をどうアップデートできるか考えるのが大塚さんのお仕事。
Photo: 小原啓樹

鈴木:最近はスマートフォンもAIを搭載するようになりつつありますが、こういった端末に搭載される小さなAIは、これからどのように活用されていくのでしょうか?

滝澤:いま手がけているものですと、ドローンの自律飛行制御などがあります。画像認識を用いてユーザのドローン操縦をアシストしたりする機能です。また、将来、有人区域での目視外自律飛行が解禁されることで、視線が通らない場所でもドローンを利活用できるようになると言われていますが、こういった場面では危険回避などでAIを活用する機会が増えると思いますし、これによってドローンの産業活用が拡大すると考えています。

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電線の撮影テストを行うドローン。かつては人間が高所に上ってチェックしていました。
Photo: NTTデータ

白井:現在もNTTデータさんといっしょに、ドローンを自律的に飛ばして電線を撮影する仕組みを開発しているんです。ドローンを横に飛行させながら電線をずーっと撮影して、あとで画像を分析して点検するんですね。ただ、電線は少したるんでいたりしますので、カメラのフレームからはみ出さないよう微妙にドローンを上下させつつ飛ばすのは大変なんです。そこで、ドローン側で画像認識させて、電線を追跡するように自律飛行させるためのディープラーニングのモデルを開発しています。

大塚:白井さんはそこで、「こうすればいい」という工夫のアイデアがぽんぽん出てくるのが凄いですよ。いつも感心させられています。

白井技術がどう役立つのかをイメージすると、自然とあれこれ試してみたくなるんです。ロボホンの場合は、手話を使って難聴の方とのコミュニケーションをサポートするという発想にすごく共感したことが、がんばる原動力になりました。電線を撮影するドローンにしても、今まさに危険を負いながら高所でメンテナンスにあたっている作業員の方を想像すると、社会的な意義を感じますよね。

滝澤:なにしろ電線の総延長は、日本だけで地球87周分あるそうですし。熟練作業者の退職など、構造的な問題もあるため、AIの活用機会は非常に大きいと考えています。

鈴木皆さんのモチベーションが社会的意義に根ざしているのは驚きました。エンジニアって技術への興味がモチベーションであることが多いと思っていたので。ほかにも「こんなシーンにAIを使いたい」みたいなアイデアってありますか?

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白井さんが所属するLeapMindは、ディープラーニング技術を活用した企業向けソリューションを提供する企業。NTTデータとさまざまなAIを共同開発しています。
Photo: 小原啓樹

白井:そうですね。あえてあまり高尚じゃない例を挙げてみると、メガネ型のデバイスにAIを組み込んで、合コンの時などに相性のいい相手を知らせてくれるような仕組みだって、夢ではないはずなんですよ(笑)。

鈴木:なるほど(笑)。さまざまなアイデアが、確かな技術に結合して世の中を変える。そうした取り組みの中で、NTTデータさんとLeapMindさんには強い絆みたいなものを感じさせますね。

大塚:絆というか、白井さんとはとにかく話が合うんです。ロボホンの件に限らず、プライベートでもお酒を飲みながらAIに関する意見交換をさせて頂いています。

滝澤:すごく仲がいい(笑)。現場でも「こんなことできます?」って相談すると、いろんな角度からそれをクリアするアイデアを持ち出してきて、実現に向かって動き始めてしまうのがLeapMindさんの技術力。もちろん、当社でもこういった技術開発は進めていますが、力を持った若い協業先のエンジニアの方々とも、今後も積極的に連携することで取り組みを加速していきたいと考えています。

社会に役立つAIをどんどん生み出したい!

鈴木:こうしてAIをビジネスにしていく上で、皆さんにとってのハードルはどんなところにありますか?

大塚AIの技術は天から突然降ってくるものではありませんから、世間に届くまでの間に、さまざまな議論や失敗があります。ロボホンにしても、最初は手話の動画をそのまま認識させようと頑張っていましたが、服装や背景が変わるとスムーズに判別できなくなり、困っていました。そこで検討を重ねた結果、AIの内部で被写体の骨格を抽象化(Pose Estimationと呼ばれる技術)して捉えなおし、腕の関節や指などを基点に動作を分析する発想に到達した経緯があります。

白井:僕がいつも感じているのは、あまり複雑化させないほうがいいということ。シンプルに、それまでの取り組みから得た知見や、論文などで確立されているデータなどを、素直に取り入れてみたほうが、これまでの経験上うまくいく可能性が高いです。ロボホンの手話認識も、どうやって処理速度を上げていくかという課題に対して、ネットワークのサイズを圧縮したり、余分な処理を排除したり、やれそうなことをシンプルにコツコツ重ねていった結果ですから。

鈴木:そこでこれからのAI時代を見据えて、汎用性のある高速化手法を見つけられれば、強いですよね。

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若手のさまざまなアイデアを、どうやってビジネスにするかを考えている滝澤さん。自身もかつては新たなサービスの創造に熱中していたそうです。
Photo: 小原啓樹

滝澤:現在のところ、ビジネスにおけるAI活用は、たとえば金融業界における与信など数値系の仕事のほうが成果を出しやすいと言われています。ですが、今後は画像認識技術など、非構造化データ(画像や音声、文章など、データとして整理されていないデータ)を用いたAI活用の市場も大きくなってくると考えています。2020年には、インターネットにつながるデバイスが数百億を超えるという予想があります。たくさんのモノがインターネットにつながっていく中、こういったディープラーニング技術の社会実装が新たな勝負の領域になるでしょう。我々はこの世界観を実現したいと考えています。

白井:うちではIoTではなく、近い未来を見越してDoT(ディープラーニング・オブ・シングス)という表現をよく使っています。いろんなものにAI(ディープラーニング)が組み込まれている世界。これはわざわざ創ろうとしなくても、必ずやって来る未来の姿だと思います。

大塚:だからこそ、AIを用いて社会に役立つものを、もっともっと作って実装させたい。そして、それが事業にできるなら理想的です。今のところNTTデータ社内ではまだ、数値系AIを手がけているチームが多いのですが、幸いにして僕らはアウトローチームとして少し変わったことをやらせてもらえているので、新しいチャレンジがしやすいんです。

滝澤:この領域は、やらされている感じで取り組んでいる人をほとんど見かけないですよね。皆、目を輝かせてそれぞれがどういう世界を実現したいか、希望を持って取り組んでいる。これはすごくいいことでしょう。

白井:そうですね。たくさんの方法論があり、多くのプレイヤーがいる中で、「こんな世界を実現したい」と共感しながら取り組めているのは、とても楽しいです。

鈴木:NTTデータさんみたいな大きい組織が、LeapMindさんみたいな専門企業との二人三脚で、ロボットやドローンに取り組んでいるフットワークの軽さに驚きました。これから何ができるか、将来を見据えてワクワクを共感できる人たちが集まって、目的に向かっている様子がよく伝わってきます。そんなNTTデータさんからこれから何が飛び出すのか、楽しみにしています!

なぜNTTデータは「AI万能説」に異論を唱えるのか

囲碁、将棋でプロ棋士を破ったことで一躍注目を集めた人工知能=AI(Artificial Intelligence)。それはビジネスの世界をどう変えて...

https://www.businessinsider.jp/post-163582

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Photo: NTTデータ, 小原啓樹
Source: NTTデータ公式サイト

(友清哲)