世界を舞台に働く──「グローバル人材」に求められるコミュニケーションスキルとは?

ビジネスの現場では、国の壁を超えて多様な国籍、人種の人たちと円滑なビジネスコミュニケーションを取れる人材=グローバル人材が重宝されている。

早いうちから世界を舞台に仕事をすると、どんなスキルや仕事の経験値を得ることができるのか。フランスに本社があるグローバルITコンサルファーム、キャップジェミニでビジネス/ITコンサルタントとして活躍する高井智光氏に、広い視野で仕事をすることで得られる力や国境を超えたプロジェクトの面白さを聞いた。

仕事とは、バケツリレーのようなもの

高井智光(たかい・ともみつ)氏

キャップジェミニ・ジャパンの高井智光(たかい・ともみつ)氏。学生時代から海外でのインターン経験などを積み、2015年同社に新卒入社。金融コンサルティング部門を経て、入社2年目から国内大手製薬会社のグローバルBPRプロジェクトに参画。マネジャーとして、現在は大手消費財メーカーのグローバルプロジェクトに構想策定フェーズから参画中。

世界50カ国で展開、30万人以上の従業員数を擁するITコンサルファーム、キャップジェミニ。高井氏は2013年に設立されたキャップジェミニ・ジャパンに2015年に新卒入社し、入社2年目で「国内大手製薬会社のグローバルBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)プロジェクト」のメンバーに抜擢された。

製薬業界という未経験かつ専門性の高い領域のプロジェクトにアサインされ、プレッシャーも大きかったが、何より収穫になったのは「プロジェクトの一部分を見るのではなく、上流から下流まで関わりそれぞれの工程でどんな人が関わっているのかを身を持って知ることができた」体験だと言う。

「ビジネス/ITコンサルタントの仕事は上流部分だけに携わるものと思われがちですが、キャップジェミニではそうではありません。構想に始まり、それを実装してさらに運用していくまでEnd to Endで携わっています。

そんな中で、仕事はバケツリレーのようなものだと実感しました。各工程で多くの人が参加するプロジェクトでは連携が重要で、自分の領域だけを理解していればいい訳ではありません。全体を理解しながらプロジェクトを進めることは、結果的によい成果にもつながります」(高井氏)

例えばある業務に対して、闇雲にやり続けるよりも、前後の工程を理解した上で新たなやり方やより良いやり方がないか模索しながら提案・改善することが、仕事の質の向上や新たな価値の創出につながっていくのだ。

まずは相手との「共通言語」を理解する

高井氏1

プロジェクト配属当時20代だった高井氏は、チーム内で最年少だった。

「同じチームのメンバーは10年、20年以上のキャリアがある方ばかりでした。そもそも土台となる知識も違うし共通言語も異なる。必死に勉強しましたが、今となっては恥ずかしいような失敗もしました」(高井氏)

それは、キャップジェミニの連携拠点があるインドのテクニカルコンサルタントとやりとりをしていた際のこと。それまで自ら設計やプログラムを行った経験がなく、技術の知識が不足していたこともあり、的確な指示を出すことができなかった。

「クライアントと議論を重ねた上で必要な機能を決めて、インドのテクニカルコンサルタントに仕様を伝えるのですが、技術者・開発者視点からするとボロボロだったようで……質問攻めにあいました。技術者・開発者視点と業務視点で、物事を見る角度が全く異なることを痛感しましたね」(高井氏)

その後はわからないことをそのままにせず、先輩や上司にあたるコンサルタントやITのプロフェッショナルであるテクニカルコンサルタントに質問を重ねた。

「グローバルのプロジェクトを進める上で大事にしているのは『共通言語を理解すること』です。IT業界の専門用語の理解はもちろんですが、その国での使われ方やニュアンスの違いについても質問を重ねながら理解していく。

また、私が業務視点しか持ち得なかったように、テクニカルコンサルタントもプログラム目線で見ている可能性もあります。そういった立場の違いによるギャップを解消するために、『自分はこう思っているけれど合っているか?』と一つひとつ確認しながら意見を交わして前に進めるようにしています」(高井氏)

コンサルタントに必要な「コンサルティング力」と「専門知識」とは?

働く人

Shutterstock / everything possible

若手でも責任ある仕事を任され、グローバルのメンバーに揉まれながら、活発にディスカッションを交わす。そんな環境だからこそ成長曲線は急カーブを描く。実際、高井氏は新卒入社から7年目の今、マネジャーとして活躍している。

「ストレートに言えば、ほかのコンサルファームに就職した友人と比較すると、この年次にしては経験できる幅が広いと感じています。コンサルタントは常に新しい挑戦が伴う仕事です。やったことがないプロジェクトで、過去のテンプレートが通用しないことも多い。そんな時は、これまでの経験を横展開して足りない知見を補い考えます。

キャップジェミニ・ジャパンには、グローバルでさまざまな立場の人と関わりながら働ける環境があります。そのお陰で、どんなプロジェクトにも対応できる自信と基礎能力は身につきました」(高井氏)

早くからハードな案件に身を置き、責任を持って実務をこなしてきたからこその自負。そんな高井氏は、コンサルタントには大きく2つの力が必要だと考えている。それが、「コンサルティング力」と「専門知識」だ。

「コンサルティング力とは、インプットとアウトプットの能力、そして思考力の集合体です。インプットでは、複雑で大量な情報を正しく整理する力が必要。いわば、1を聞いて10を知るといったところでしょうか。そのインプットは深い知見となり、インサイトを導き出す思考力へとつながります。

ただしインプットと思考力があっても、アウトプットができなれば意味がありません。資料作成でもプレゼンテーションでも、分かりやすく、そして正しく相手に伝えるスキルが求められます」(高井氏)

では専門知識とは何か。これは「業界知識や業務プロセス、ITの基礎知識」だと言う。

「業務によって基本的な流れは決まっています。例えば購買の業務プロセスなら、モノを発注して、発注したモノが届き、入庫して支払いをする。販売なら、注文を受けて出荷し請求をする。このプロセスと業界を組み合わせれば、クライアント業務の大枠は捉えられるようになります。

それに加えてITコンサルなら、システム導入プロジェクトの進め方やコンピュータープログラム、ソフトウエアがどう動くのかといったデジタルの基礎知識が必要で、それが業務提案の武器となります」(高井氏)

組織を率いる立場で能力を高めていく

高井氏2

現在は、国内大手消費財メーカーのグローバル案件として、日本と海外の事業部統合プロジェクトに携わっている高井氏。構想策定フェーズより参画し販売領域のチームリードを担当している。ここでも、以前と同じようにヨーロッパの業務メンバーやITメンバーと英語でやりとりをして、メンバー間の橋渡しをするなど、コアメンバーとして活躍中だ。最後にこれからの目標を聞いた。

「私が入社時に会社を選ぶときの軸の一つが『どれだけ経験値を積める環境か』でした。組織規模が大きすぎるとどうしても関われる範囲が限定的になりがちですが、キャップジェミニ・ジャパンはまだまだ成長フェーズでチャンスを自分からつかみに行くことができる環境です。

新卒で入社して現在はマネージャー。次は組織をマネジメントする立場で、より経験値を積んでいきたいと考えています。

私が所属しているERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)プラクティスは、市場ニーズもかなり大きい分野で、キャップジェミニ・ジャパン内でも急成長している部門。クライアントのニーズに応えるにはまだまだ人材が足りません。そういった中で、人財育成やリソース配分も含めてしっかりとプロジェクトを回せるようなリーダーになりたいですね」(高井氏)


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