「経営者にとって、確定申告はチャンスでもある」森永康平氏に聞く、起業家の心得

ビジネスや人の生活と切っても切り離せないお金。しかし「稼ぐ」「使う」「貯める」「投資する」ことについて、私たちはどれだけのことを知っているだろうか。

自身が幼い頃から経済を学べる環境にあったことから「子どものうちから正しいお金の知識を持ってもらいたい」と2018年に会社を立ち上げた森永康平さん。創業から現在に至るまでの森永さんのビジネスや心境の変化とは?コロナ禍での気付きや、これから挑戦したいことについても聞いた。

お金について知りたいのは、大人も同じだった

──2018年にマネネを立ち上げた森永さん。なぜ金融教育を軸とした会社を立ち上げたのでしょうか?

森永康平さん(以下、森永):幼少期から家庭内に経済を学ぶ環境が整っていたため、中学生くらいのときから独学で経済の勉強をしていたんです。その知識をもとに、大学時代は株式投資を行っていました。大学卒業後は運用会社の調査部でアナリストの仕事をしていたのですが、同期は一から勉強していたのに対して、自分は実践を通じた知識もあって、それが身体に染み付いていた。

このアドバンテージは「頭の良さ」などではなく、家庭環境の違いだと思うんです。でもそれって、すごく不公平だなと。お金にまつわる教育を家庭任せにするのではなく、子どものうちから別け隔てなく正しい知識をインプットできる環境を提供したいと思い、マネネを立ち上げました。

──立ち上げから3年半。コロナ禍を経験し、事業の方向性に変化はありましたか。

森永氏

マネネCEO/経済アナリストの森永康平さん。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。インドネシアや台湾などのアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任した後、2018年6月に金融教育ベンチャー、マネネを設立。

森永:創業当初、親御さんから「子どもにお金の知識を伝えすぎると詐欺師になってしまうのでは」「投資はギャンブルだから危ない」という意見がありました。

そこから親御さんもお子さんと一緒に講義を受けてもらうことにしたのですが、講義後のアンケートで大人から圧倒的に評価が高かったのは「子ども向けにやさしく噛み砕いたお金の話」のパートだったんです。日本ではお金の勉強をする機会があまりないので、大人でも意外と知らないことが多いことを再認識しました。

それからは、徐々に大人に向けてもお金の教育をするようになり、コロナ禍では資金繰りに困っている事業者に資金調達のレクチャーをしたり、出資交渉をしたりといった仕事も行ってきました。2021年は官庁でお金の講義や政策のアドバイスをする機会にも恵まれました。

起業して最初にやるべきことは?

町ゆく人

Shutterstock / charnsitr

──創業時、仲間をたくさん集めるのではなく「小さく始める」ことを意識したとのことですが、会社の管理面で最初に行ったことを教えてください。

森永:創業時は一人で何でもやることになるので「経理関係はできる限り時間をかけずにスムーズに行いたい」と思い、公私の支払いを分けるためにアメリカン・エキスプレスのビジネス・カードを作りました。法人と個人のコストを分けておかないと、カードの明細を見ただけでは何のために使った経費なのか思い出せないと思ったので、最初から使うカード自体を別にしました。

アメリカン・エキスプレスにしたのは、私より先に起業していた知人の勧めがあったからです。

──経費を全てビジネス・カードで支払うことで、どんなメリットがありましたか?

森永:僕は基本的に経費になるものは、少額であってもできるだけビジネス・カードで決済しています。例えばコンビニなどで「こんな小さな金額をカードで払うのは気が引ける」と思う人もいるかもしれません。でも最近は専用リーダーにカードをタッチするだけの「タッチ決済」に対応しているお店も増えているので、会計もスムーズにできるんです。

あとは利用明細をダウンロードできる機能も活用しています。例年、2〜3月になると周囲の経営者は「確定申告が大変」と言っている印象があるのですが、僕自身は余裕をもって対応出来ていますね。明細をダウンロードするだけで全て経費として計上できるし、仕分けの必要もない。確定申告の書類も慣れてしまえば、1時間程度で作成できて助かっています。

確定申告を「事業を振り返るキッカケ 」に

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Shutterstock / mojo cp

──確定申告は1年の収支を眺める機会にもなると思います。ご自身ではどのような振り返りをしていますか。

森永: 僕は確定申告時期にビジネス・カードの利用歴を一覧で見て、1年を客観的に振り返る機会にしています。1年間の収支を眺めると、自分がお金を使いがちな項目と反対にあまり使っていない項目など、消費のクセが見えてくるんです。

そうして「来年はここを削ろう」「もうちょっとここにお金をかけていけばビジネスを大きくできる」といったように、次の計画を練っています。確定申告に必要な事務作業にかける時間は極力減らし、事業について考える時間を大切にしていますね。

──収支を振り返ってみて、どんな気付きがありましたか?

森永:コロナの前後で、接待交際費が明らかに減りました。だからといって売り上げが落ちたかというとそうではなく、そこはひも付かないという気付きはありましたね。

また、コロナ禍では対面で講演を行う機会が減りましたが、オンラインに切り替わることでむしろ講演回数自体は増えました。新型コロナウイルスが、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進める強制的な力として作用したことを実感しました。

「お金は危ないもの」ではない。金融教育の誤解を解く

マネネCEO/経済アナリストの森永康平さん

──若年層への金融教育の見直しの必要性も叫ばれています。今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか?

森永:「子ども向けの金融教育をやりたい」から始まり、最近は対象が大人に向いていたのですが、今後は原点回帰していきたいです。

2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられますよね。大学1〜2年生が「何だかよくわからないまま契約してしまった」という事象も、今までは未成年であれば取り消せましたが、それもできない。お金の知識がこれまで以上に大事になってくるので、なるべく多くの若者にお金の話をしたいと思っています。

日本では「金融教育=投資教育」で、「投資=危ないもの」という考えを持っている人もまだ多いと感じます。私が考える金融教育は、もっと広いんです。「稼ぐ」「使う」「貯める」「投資する」という観点からお金に関する正しい知識を伝える活動を行い、偏見や誤った知識を無くしていきたいですね。


起業当初からアメリカン・エキスプレスのビジネス・カードを持ち、定期的な振り返りを行い支出の傾向をつかんだり事業計画を行ったりしてきた森永さん。事業の成長を裏で支えるビジネス・カードの存在をフルに活用しながら、新たな挑戦に向けて動き出している。

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